渋沢栄一の生家は畑作や養蚕、藍染めの染料となる藍玉の製造販売などを営む豪農でした。栄一は、藍玉製造者から仕入れる藍玉の品質を調査し、相撲番付をまねて「今年の藍作りの大関、関脇、小結、前頭」(藍玉力競番付)などとランク付けしました。22歳の時、藍玉の製造者たちを招いてごちそうを振る舞う際、その席順を藍玉の品質ランク順として、製造者たちの競争心をあおることで、藍玉の品質は向上していきました。栄一は当時から、良質の藍玉を加工製造することで利益を増やし、村全体、地域全体が藍の産地として力を付け、豊かになることを考えていたといいます。さすがですね。
藍玉生産は、インディゴ染料が出回るようになり、次第に衰退して途絶えていきます。しかし近年、天然発酵の藍染めの風合いや美しさが見直されています。駒ヶ根シルクミュージアムでは、藍染め体験が楽しめ、ご自分の藍染め作品を持ち帰ることができます。駒ヶ根シルクミュージアムは、体験工房の充実していることが特徴のひとつです。体験工房では、専任講師の指導のもと、藍染め以外にも、まゆ(繭)クラフト作り・裂き織り・飾り紐作りなどが楽しめます。材料費は必要ですが、体験のみのお客様には、入館料はいただきません。 (雅)