駒ヶ根シルクミュージアム館長として今年の4月に着任した中垣雅雄です。
今年の夏休み企画として「世界の様々な国のカイコと繭」という特別展(〜8/26)を開催中で、先ほど図録もでき上がりましたのでご案内いたします。(特別展の詳細とご注文はこちら→https://komagane-silk.com/exhibition/第48回特別展「世界の様々な国のカイコと繭%ef%bd%9e日本/)
日本の農家で養蚕を見て、「カイコは白っぽい芋虫で、白い繭をつくる」というイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、世界各国のカイコは、そのイメージから大きく外れるほど個性的で、長い養蚕の歴史の中で、「珍しい変異体のおカイコ」がいろいろ生まれています。今回の特別展で動態展示する世界の様々な国のカイコ、普段は滅多に見ることが出来ない珍しい貴重なカイコをご観覧いただき、楽しんでいただきたいと思います。
珍しいカイコをご観覧いただき、鎖国中の江戸時代、「人間の皮膚は黄色で、黒髪、黒い瞳が当たり前」と思っていたのに、黒船が来航して、皮膚の色が白や黒や茶色で、金髪や赤毛、青い瞳の人などが現れたのを見て、「異人さんだ!」と思ってしまった江戸の人々の驚きを想像していただけたら…と思います。「こんなカイコもいるの… こんな繭もあるの…」と感じる方もいるかもしれませんが、カイコという生物の変異幅の広さを知っていただければいいなと思います。
急速に消えつつある養蚕文化を後世に伝えることは、駒ヶ根シルクミュージアムの大切な役目だと考えています。 絹糸用の繭をせっせと作ることにより、農家の生計を支えたカイコ、そして明治から昭和初期の日本の経済を支えてきたカイコ。そのようなカイコという農業昆虫(家畜昆虫)を思い出していただくことが、絹作り・養蚕という文化を理解する一助となれば幸いです。(館長 中垣雅雄)