駒ヶ根シルクミュージアムでは、今年も現代手織物クラフト公募展を開催します。通算14年目となりますが、手織物だけに限定した公募展を、これだけ長く毎年定期的に開催している例は全国でも珍しいと聴きます。これも、応援してくださる皆様のご理解とご協力のお陰と深く感謝しております。
駒ヶ根シルクミュージアムは日本でも数少ない《カイコとシルクの博物館》で、シルクなどの天然繊維を中心とした「衣=織物」の知識、技術、歴史などの情報伝達の場でもあり、当ミュージアムは、『織の財団』とともに実行委員会を組織して『現代手織物クラフト公募展』を毎年秋季に開催していいます。この公募展は、「全国で独自の創作活動をしている織物のプロ、および将来プロを目指す方たちが創作した、独創的で優れた織物作品を展覧し、広く織物愛好家に向けて紹介するとともに、自立の道を拓く支援の場となること」を目的としています。今年も、着物・反物・帯地・タペストリーの独創的で感性に満ちた応募作品が例年のように全国から多数出品されました。その応募作品の中から審査委員によって厳選された入賞・入選作品55点を展示しました。
“手織り”は古代より行われており、その誕生は新石器時代といわれますが、現代においても人気があります。経糸と緯糸との絡みあいによって作り上げられる手織物は、密度・組織・素材・色彩の組み合わせなどによって、そして織り手の技量と感性によって、作者の思いや個性をいろいろ表現できます。手織物は、一つひとつ丁寧に思いを込めて織り上げた、同じものは2つと作れない世界でひとつだけの作品です。この公募展では、織りの技量を競うことはもちろん、その手織物の表情が、それを纏いたいという利用者の感性や、公募展の審査委員の感性にどうアピールするかを競うことになります。
織物の伝統と文化を守りながら、織り手の意欲を感じさせる手織物作品には新鮮な感動があります。和の文化が好き、着物が好き、いい物が好き、美しい物が好き、…そのような方をはじめ、多くの方々に公募展の入賞・入選作品をご鑑賞いただき、その感動を味わっていただければ幸いです。 (図録巻頭ご挨拶より)
駒ヶ根シルクミュージアム館長
「現代手織物クラフト公募展」 実行委員長 中 垣 雅 雄